かむ

かむ
I
かむ
(終助)
〔上代東国方言〕
文末にあって, 感動・詠嘆の意を表す。 終助詞「かも」に同じ。

「大君の命かしこみ青雲の棚(トノ)引く山を越よて来ぬ~/万葉 4403」

II
かむ【噛む・嚼む・咬む】
(1)上下の歯ではさんで, 物をつぶしたり砕いたりする。

「よく~・んで食べる」「ガムを~・む」

(2)上下の歯の間にはさんで, 傷つけたりする。

「舌を~・む」「犬に~・まれる」

(3)二つの歯車の歯が合わさる。

「ギアが~・む」

(4)海や川の水が激しく打ち寄せる。

「激流が岩を~・む」

(5)仲間として加わる。 参画する。

「この計画にはぼくも一枚~・んでいる」

(6)〔遊里語〕
説き伏せる。

「また平様に~・まれにやならぬ/歌舞伎・韓人漢文」

‖可能‖ かめる
︱慣用︱ 窮鼠(キユウソ)却って猫を~・唇を~・砂を~よう/飼い犬に手をかまれる
噛む馬はしまいまで噛む
〔人にかみつく癖のある馬は死ぬまでその癖が直らないの意〕
悪い癖は容易に直らないというたとえ。
噛んで吐(ハ)き出すよう
不愉快な気持ちからそっけなくものを言うさま。

「~な口のきき方」

噛んで含(フク)・める
よくわかるように詳しくていねいに言う。 懇切にさとす。

「~・めるように教える」

III
かむ【家務】
(1)一家の事務。
(2)中世, 武家で一家の執事として, その家政を執った者。
IV
かむ【擤む・挗む】
鼻汁を鼻から吹き出して取り除く。

「はなを~・む」「鼻などを…しのびやかに~・みたるは/枕草子 120」

‖可能‖ かめる
V
かむ【神】
上代, 「かみ(神)」が他の要素の前に付いて複合語を作るときの語形。
〔上代では複合語を作る際, 「かむかぜ」「かむさぶ」など「かむ」の形をとる。 また, 中世以降, 「かみ…」という複合語は撥音便形「かん…」をも生じ, これが「かむ…」と表記されることもあったので, 上代の「かむ」の残存か「かみ」の音便形かの区別は困難である〕
VI
かむ【醸む】
〔「噛(カ)む」と同源。 酒は, 古く, 米その他の穀物を口の中でかみ砕いて唾液とともに吐き出してそれを発酵させてつくった〕
酒をつくる。 醸造する。 かもす。

「この御酒(ミキ)を~・みけむ人は/古事記(中)」


Japanese explanatory dictionaries. 2013.

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